平成19年8月19日 大台ケ原・D日出ヶ岳 1695mからA西大台を散策

前回;大和岳からの日出ヶ岳


周辺地図

 10年程前に西大台を散策したことがあるが、あまり記憶にない。9月より西大台が原生林保護のため入山が制限されることを知り再度訪れることにする。
予報では曇りだったので、幻想的なガスの原生林が見られかと思っていたが、前日には晴れになってしまう。天気が良ければ、日出ヶ岳から熊野灘の朝焼けが観られるかも。自宅での熱帯夜を避けて出発する。
 大台ヶ原ドライブウェイの中腹では霧が発生していたので、「雲海も観られるかも」と密かに期待が膨らむ。
大台ケ原ビジターセンターがある駐車場に着くと、満天の星で雲ひとつなく期待は膨らむ一方、仮眠もそこそこで出発時間になる。 18日22:10枚方〓1:20大台ケ原駐車場着

4:15大台ケ原駐車場〓4:47〜5:40日出ヶ岳〓6:30尾鷲辻〓7:07〜12大台ケ原駐車場〓7:14西大台・安心橋分岐(間違って安心橋方向へ行き36分ロス)〜7:50〓7:55七ツ池分岐〓8:00ナゴヤ谷(松浦武四郎分骨碑)〓8:52七ツ池〓9:27開拓跡〓9:31経ヶ峰分岐〓40展望台分岐〓9:55〜10:33展望台〓ナゴヤ谷で10分休憩〓12:13大台ケ原駐車

東大台【駐車場〜日出ヶ岳〜尾鷲辻〜駐車場】


ビジタ-センター横が登山口

展望台がある日出ヶ岳山頂

北方面は雲海。

 リュックを担がずに、おにぎり・お茶・カメラと懐中電灯を二人で分担して持ち、登ることにする。気温は18度前後で、東の夜空には冬の代表的な星座であるオリオン座が見えている。大台ケ原ビジターセンター横より山頂へ。直ぐに尾鷲辻分岐がある。
このコース、35年前に歩いたときには、絨毯(今思えば布団だったかも)のように苔むす原生林の美しさに感激したが、12年前にはササが勢力を伸ばしており失望し、以後歩いていない。そして今回、ライトの光で見える苔の群生地は、やはり昔の面影とは違っていた。
 正木ヶ原分岐に着く。ここには熊野灘が一望できる展望台があるが、熊野灘には雲海、そして、東の空には雲があり、期待していたような御来光は望めそうにない。左折して、山頂へ。


ナゴヤ岳・三津河落山方面

5:20大阪の日の出時間なのだが?
燃える雲

正木嶺まで迫ってきた雲

5:30 眩しすぎる! 期待はずれの御来光だった。 「まぁ、いいか!」

展望台下のベンチでで朝食

日出ヶ岳山頂より下山

 日出ヶ岳山頂の展望台には、30人ほどの三重県の三雲中学生が御来光を待っていた。
背後から雲がゆっくり上がって来る中で、未だか未だかと待つこと45分。しかし雲で隠れていた太陽が見えたときは、直視できないほどの明るさになっていた。そして山頂を雲が覆うようになる。展望台下のベンチで朝食を済ませる。
 期待した御来光登山は空振り。大蛇ーからの展望も期待に背くような予感が。ならば、未だ歩いたことがない尾鷲辻から駐車場に戻ることにする。


正木ヶ原

昭和30年代までは苔むす森だったらしい。

尾鷲辻 

駐車場へ

大正時代の杉の切り株が残る。

ビジターセンター。
リュックを担ぎ西大台へ。

 正木ヶ原の木階段道を歩く。トウヒの立ち枯れ、そして正木ヶ原を覆うミヤコザサの異様な風景は観光客(ハイカー)を楽しませてくれる。
昭和30年の伊勢湾台風と鹿の高い密度によって森が衰退し、私が生まれた頃の苔むす原生林に戻ることがあるのだろうか。
 尾鷲辻で右折して正木峰の西斜面を巻いて歩く。大正時代に切り倒された杉の切り株が点在する緩やかな道を歩き駐車場に戻ってくる。

【西大台】


カワチブシ

バイケイソウ

サワオトギリ

テンニンソウ

ナゴヤ谷 左の木陰に開拓の父・松浦武四郎の碑跡

同じようなペース歩いていた夫婦。

ミヤマカラマツ


中ノ谷に下りてくる。

 リュックを担ぎ西大台へ。駐車場入口から大台教会方向へ下る。教会前より左に下ると『右・筏場』の分岐があり、足元には泥除けマットある。(ここで勘違いして筏場方向へ歩いてしまい40分ロスしてしまう。)
5分ほど歩くと分岐があり、右の七ツ池・開拓跡コースを選ぶと、ブナ原生林の山道になり、東大台では味わえない静寂があたりを包む。
明るいナゴヤ谷の河原に出る。殆ど枯れかけたバイケイソウ、そして咲き始めたカワチブシの群落、渓流を渡ると、直ぐ右に大台ケ原の開拓者といわれる松浦武四郎分骨碑があった。50mほど渓流沿いに下り、右へ上っていく。涸谷を数個横切り、ドライブウェイが上部を走る地点まで近づくが、静けさが戻ると中ノ谷に下りてくる。小休止して冷たい沢水で顔を洗う。


七ツ池ロープが張れていて池は見つからず。

七ツ池を過ぎると西大台らしい幻想的なムードが漂う。

カツラ谷;前回は捜さなくてもサンショウウオが。

開拓跡
  開拓跡説明

 明治の頃この地、高野谷で開拓し、そば・ひえ・大根・馬鈴薯を播種したが大根・馬鈴薯のみ生育し、他は結実せず廃す。そのため現在地名として残っている。

又、高野谷は弘法大師が大台に寺院を草創せんとしたが、深山のため現在の高野山に○○○○いる。 

ワサビ谷でサンショウウオを探すが・・。

往路での最後の谷。

コケトウバナ(ヤマトウバナの変種)

平坦な広い谷間を歩く。
 尾根を越すと七ツ池に着く。ロープが張られた先にあるのだろうか?池を確認できず。谷沿いに下ると、苔むす原生林になり幾度も立ち止まり、山の霊気をもらう。
 ロープが張られたカツラ谷を石飛伝いに渡り(前回は靴を脱ぐ。そして前回見つけたサンショウウオを捜すが見つからず)少し行くと開拓跡の平地に着く。
ワサビ谷を横切ると経ヶ峰分岐、左折して少し行くと××谷を横切り左折するとワサビ谷と合流し、広大な平らな樹林内を歩くと、帰り道の周遊コースと展望台への分岐に着く(ここには展望台まで40分の標示がある。この標示を信じて前回、逆峠まで行ってしまう)。

三叉路になった分岐。展望台へ。

広い尾根道を登り展望台へ。

ヒメシャラ

展望台への道は広い尾根道

ガガイモ

立派な道標があった。

展望台からの大蛇ー

千石ー・ナゴヤ岳方面遠望、左下;西ノ滝か?

 ヒメシャラも加わった広い尾根道の登りを20分ほど登ると通り過ぎることなく展望台(『展望台1380m』の標示と数人が休んでいたので)、に着く。展望台からは東方面が開け、大蛇ー・千石ー・西ノ滝?が望まれる。
流石に入山規制間近のため、ハイカーは多く感じたが、干渉されずに静かな山歩きで展望台まで来られたのを喜び、ビールで乾杯!


【駐車場へ】


ワサビ谷の吊橋

カツラ谷の吊橋

オトギリソウ

汗が噴き出すガレ場の登り。

山斜面の道になると楽。

ナゴヤ谷で休憩

中ノ谷にかかる橋る。

ナゴヤ谷にかかる橋。

朝の分岐点は近い。このあと300人前後の団体さんとすれ違う。

開拓跡分岐まで戻り右折。ワサビ谷とカツラ谷にかかる吊橋渡ると、ガレ場の登りが続く。美味しく飲んだビールが汗となって噴き出してしまう。おまけに酔いもあるので、心臓はパクパク状態だ。
やがて、歩きやすい山斜面の道になり、ナゴヤ谷に下りてきた地点で、岩場を流れる沢を見ながら休憩する。
 2つの橋(中ノ谷とナゴヤ谷のかかる橋か?)を渡ると、水音と分かれて山斜面の登りになる。ここまで戻ってくると、再びササが茂る原生林になっていた。
 朝の七ツ池分岐付近まで戻ってくると、200人ほどの団体の登山者。TVや新聞で見覚えありの、○に毛が生えたようなのマークを胸に付けている。静けさが戻ったのも、つかの間で第2群が。


 私達にとっては、静かな山歩きができてよかった。東大台のような華やかさはないが、絨毯みたいな苔とまではいかないが(カ−ペット程度?)、原生林が残っている。再び蘇ったときには訪れたいが。

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