平成22年6月10日(木) 大峯(峰)・山上ヶ岳 1719m 参道から五番関へ

年度別

 細君は所用で山に行けない。よい機会なので山上ヶ岳へ登ることにする。
山上ヶ岳は日本で唯一の女人禁制の山だが、解禁になるようなことが新聞に載っていたことがあった。
解禁されたら二人で登れば良いと思っていたが、洞川温泉旅館組合が反対したとあった。
「何故、旅館組合が?」と思ったが。以後、世界遺産になっても解禁の気配がない。

 奈良・大淀町から国道309号線に入る。私が登山を始めた頃は険しい山越えのドライブだったが、トンネルが増えて走りやすくなった。
天川川合の三叉路で左折、直ぐに三叉路があり国道309号線と別れて左の21号線(大峯山公園線)を走ると洞川温泉旅館街に入る。
川瀬谷沿いに走り、ゴロゴロ水・母公堂を過ぎると毛又橋がある。毛又谷の林道に入り五番関トンネル前に車を置きに行く。
そして自転車で2,6km下り、毛又橋まで戻る。残り約0,3kmは緩やかな上りで清浄大橋に着く。

6:02清浄大橋〓6;42一本松茶屋〓7:19お助け水〓7:45洞辻茶屋〓8:23〜40鐘掛岩〓8:55西の覗岩〓9:26〜10:47山上ヶ岳(大峯山寺本道・お花畑・東の覗岩・日本岩を巡る)〓11:38洞辻茶屋〓12:20今宿跡〓12:42鍋冠行者堂〓13:06五番関〓13:16五番関トンネル

【清浄大橋より参道】

 駐車場には一台の車(1日1000円)もない。川瀬川に架かる朱色の清浄(大峯)大橋を渡る。そして女人結界の門を潜り参道を歩く。
広場に祠がある一ノ瀬茶屋を過ぎるが、標示が背後になってから気付く。スギ林内の参道は、山伏姿の修験者が登る険しい道と思っていたが、息を切らして登るような道ではなかった。
一本松茶屋に来るが、今日は営業していないようだ。茶屋内のメニュウーを見ながら抜ける道とは思ってもいなかった。
一本松茶屋を過ぎると雑木林が交ざるようになり、毛又谷を挟み奥駈道のある稜線と大天井ヶ岳が樹間から時々見られる。

 試飲を楽しみにしていたお助け水に着く。水量は意外と少なく石の瓶を濡らす程度である。試飲しようとしたが、瓶に朝日が差し込むようになり、反射して見える水は飲む気持ちにはなれず。持参の麦茶を飲む。
二少年遭難碑を過ぎると七曲り坂と云われる小さくジグザグになった坂があるが、直ぐに終わる。
北西に延びる尾根下を登るようになり、奥駈道出合はもう直ぐだと分かる。

 洞辻茶屋に着く。ここからは大峯奥駈道になり、人気のない茶屋内を通り抜けると、ブナとオオイタヤメイゲツ(カエデ)が多く自生する原生林になる。
万能薬『だらにすけ丸』専門店である陀羅助茶屋に着くが、ここも閉店中だった

 何となく「難所に来たかな?」と思わせるわらじ原に着く。登山者だと靴の紐を結び直す場か。
ここで道は二股になっている。左が登りコースで、鐘掛岩を通るコースになり緊張して進む。
油こぼし。油をこぼしたようによく滑る難所を想像していたが。帰宅後レポ作成にあたり調べて分かったが、急斜面にジグザグに設けられた木道橋の地点が、油こぼしだった。
今は何とも味気ない。途中で望めた大天井ヶ岳をのんびりと撮ることのできた場所が『油こぼし』だったとは。
次が、クサリ場の岩場だった。ここも帰宅後に分かった小鐘掛だった。クサリを使用しないでも何とか登れた地点だった。

 巨岩の鐘掛岩を見上げる。ここには標示がある。登ると岩の中間辺りに行場があり前には展望台があった。ここからは稲村ヶ岳・金剛山・大天井ヶ岳から吉野山への奥掛道が望まれ一息入れる。
熊避けの鈴の音がして来たので出発する。鐘掛岩の岩壁を削った道を巻くと、鐘掛岩の頭上への道があったので、登る(気付き難い)。
岩壁には木道があり、3mほどの登りにはクサリがあるが、使わなくても登れそうだが使用する。
鐘掛岩の頭上に立つと更に展望が広がり、高見山・台高山脈の北半分が望まれた。


五番関トンネルに駐車。自転車で清浄大橋へ移動。

清浄大橋

女人結界の門

一ノ瀬茶屋

参道は至れり尽くせり。

お助け水。
楽しみにしていた水場だったが飲まず。

七曲り坂

奥駈道と出合う洞辻茶屋

ブナとオオイタヤメイゲツの原生林。

宿坊と山上ヶ岳

西ノ覗岩

陀羅助茶屋と鐘掛岩

推薦は左。
ここが『油こぼし』

油こぼし;

小鐘掛。下部・上部にあったクサリ場。

鐘掛岩を見上げる。

岩壁を削って造られた道。

鐘掛岩

鐘掛岩の展望台

鐘掛岩

岩場に咲くコイワカガミ

鐘掛岩より。
鐘掛岩の最上部へ裏側より登る。

鐘掛岩からの大天井ヶ岳。 遠方に金剛山・葛城山

鐘掛岩より

ブナよりオオイタヤメイゲツが多く自生している。

左は下山道。右から登ってくる。
橋でもないし?
雨が降るとドロドロになるのかな。

【山上ヶ岳と大峯山寺境内】

下山コースと合流して、等覚門を潜ると大峯山寺境内になるが、静まりかえっている。
露岩を踏んで標示に従い道から外れて、西ノ覗岩に立つ。
真下を覗き込もうとしたが、恐ろしくて足が竦む。展望の良い所だが、離れて眺める。

 宿坊が立ち並ぶ中を歩くと、「よう・・・・」と。今日、初めて出会った工事の仕事していた人に声をかけられるが、何を云われたか分からず会釈だけする。
歩いているとベンチの背もたれに『よう、おまいり』と書かれた文字を見て、云われた言葉が分かる。
今度は布団を干していた宿坊の方から「ようお参り」と挨拶されたが、返事に困り出た言葉は「こんにちは」だった。
三度目は若い僧から「ようお参り」云われる。「どう、返事をすればよいか」と尋ねる。「ようお参り」でよいと。

 宿坊から小高い場所を目指せば妙覚門がある。門を潜れば大峯山寺本堂は直ぐだった。
本堂前を登れば山上ヶ岳は直ぐだった。

 樹林に囲まれた山上ヶ岳頂上には登山者がいた。三角点はあるが想像していた山頂とは全く違い、『湧出岩』と刻まれた石柱がある。「ここが山上ヶ岳?」と尋ねると「テクテクさん?」。
昨年4月、鈴鹿・鍋尻山で出会った滋賀県の男性だった。今週は車中泊で三百名山を主に近畿の山を登っており、三百名山達成を目標にしているらしい。登山回数、千回の私の目標とは、レベルが違い過ぎだ。

 西に少し下るとお花畑があるが、笹原が広がり花は全く無かった。しかし展望は良く、眼前に稲村ヶ岳、そして大普賢岳から釈迦ヶ岳へ連なる大峰山脈、奥高野の山並を望みながら食事する。
食後、本堂裏手より東ノ覗岩へ、そしてお花畑の西にある日本岩にも寄るが、効率の悪い歩きになってしまう。


等覚門。ここより大峰山寺境内か。

露岩の参道

鷲ノ巣岩

宿坊。左端が山頂。

西ノ覗岩と鷲ノ巣岩

展望は良いが気持ちの良い場所ではない。

宿坊:山頂への近道は?迷う前に歩け。

妙覚門

大峯山寺本堂

本堂の東にあった奥駈道。

山上ヶ岳頂上。山頂の気分を味わえないな。

直ぐ横がお花の無いお花畑
期待はしていなかったが
雑草の花も全くなし。

お花畑より。

お花畑より。

お花畑より。

東ノ覗岩に移動する。

                               東ノ覗岩より。

東ノ覗岩より。                                                    

日本岩に移動(西)。  中央;金剛山、葛城山と奈良盆地。 洞川温泉街  苑蜩V井ヶ岳

【五番関へ】

 下山して五番関へ。等覚門を出て下山コースを下ると長い木階段が続くが、段差が均等なので下りやすい。
気付けば下山コースにあるお亀石を見損なっていた。
登ってくる登山者と「ようお参り」と挨拶して洞辻茶屋まで戻る。
洞辻茶屋からは朝の参道と分かれ奥駈道を歩くと、始めはササが茂る潅木の明るい道が、ブナとオオイタヤメイゲツの原生林になり、そして純ブナ林に変わる。

 日本海のブナの幹は綺麗なのに、大峰・台高のブナの幹は黒ずんで、違った雰囲気がある。何故かと思っていたら、結構上部まで苔が付いているからだと今頃になって気付く。両方とも好きではあるが。

左のブナ越しに山容の美しい大天井ヶ岳を望む。やがて背後に見えるようになり、露岩のクサリ場を下り、崩落した山斜面を過ぎると、平坦な尾根にブナ林が広がる。右を見ると小広い広場になっており、小さなプレートに今宿跡と記されていた。
奥駈道は西寄りに向きを変えていく。スギ林が交じるようになり、作業用モノレールを右に見て、西方向へ。

 大所山分岐尾根を右に見て、直進すると、左がスギ林になり、鍋冠行者堂に着く。地図には鍋かつぎ行者とある地点のようだ。
窪地を歩くと、小天井ヶ岳を巻く山斜面の道に変わり、道は細り、少し緊張する場所を下る。大天井ヶ岳が近くに見えるようになり、女人結界門から出ると、五番関の鞍部に着く。左折して10分ほど下ると車のある五番関トンネルに下りて来る。


左の下山コースを利用する。

木道を下る。

洞辻茶屋で参道と分かれ、奥駈道の吉野方面へ。


山容の良い大天井ヶ岳も見納めに。

台地状に見えた山上ヶ岳

露岩の急な下り。

吉野を基点にした丁石。

鍋冠行者堂にあった鉄鍋。

窪地を下る。

小天井ヶ岳を巻く。

小天井ヶ岳の上部

五番関女人結界門。

五番関トンネルに着く。

自転車を撤収して帰宅。

  一度は経験したかった山上ヶ岳の参道だった。参道は至れり尽せりの感がある。良く言えば整備されている。
次回、山上ヶ岳登山をするときは川瀬谷からのルートを選ぶだろう。

 下山した五番関への奥駈道はアップダウンが少なく歩き易い。お陰でのんびりと素晴らしい原生林を見ながら歩くことができた。

 平日であったため、山伏、ほら貝の音を見聞きすることはなかったが、信仰心の薄い私には参道も登山道であり、行場の岩は展望場所でしかない。だから修験者と出会わなくて良かったと思っている。
出会った登山者は7人だけだった。

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