平成22年2月7日 山梨県・七面山(しちめんざん) 1989m

年度別

 毎度のことだが、土曜日になると山行計画で悩む。日本海で大雪を降らせている寒波も明日は緩み、暖かくなる予報だが、日本海側は無理。
今の時期だったら近畿中部の樹氷登山が定番だが、毎年の恒例で登頂意欲が湧かない。

 富士山を観に山梨県の七面山と南アルプスのパノラマが望める希望峰に登りたいが、「遠いな〜。富士山は見えそうだが、南アルプスは望めるだろうか」と、強気と弱気が交互して決断がつかないが、夕方7時前のTV天気予報で最終チェック。悩むのが馬鹿らしくなり、朝から天候が良さそうなので行く。

 気忙しく準備を済ませて、1時間ほど仮眠してから雪がチラチラ舞う枚方を22時20分に出発する。
名神高速道は栗東ICの先で事故通行止め、第二名神を走るので関係がない思っていたら、滋賀県甲賀市で雪によるスリップ事故か?中央分離帯に衝突した事故車による渋滞で、一時間以上ロスする。
伊勢湾岸道路を走る頃、星が見えるようになる。東名・清水ICで降り、国道52号線を富士川沿いに北上、身延町で左折して県道37号線(南アルプス街道)を走る。
角瀬トンネルと春木川にかかる橋を渡って直ぐに左折すると、北参道入口がある角瀬だが、駐車場のある羽衣の表参道へ。

 清水ICから約73km。 枚方から392km(往復783km・G45、5リットル) 3時45分着


周辺地図

4:20羽衣登り口(表参道)〓7:40〜45敬慎院・随身門富士山展望台〓9:37〜10:47七面山(ナナイタガレの頭部で食事)〓11:48富士山展望台〓13:53羽衣登り口

 車で計測すると角野から羽衣まで約4kmあった。北参道を下山して戻ることも考えていたが、表参道のピストンになりそうだ。
駐車場横の鳥居から表参道を登る。自宅でチェックした時は、明るかったライトが寒さのためにバッテリーが減って暗い。足元を照らすには充分だが、明るくなるまで持つか心配だ。
登り口には外灯があったので助かったと思ったが、2丁目の神力坊までだった。半月の月明かりでは歩けない。

 大木の杉木立の広い道を登ると、「南無妙法蓮華経」と唱えながら登る30人程の信者に追い着く。
1字毎に一歩進むようなスローな歩きだが幼児もいる。敬慎院まで標高差1200mもある。低い均等な段差は子供でも登りやすいが、睡魔に負けず頑張って欲しい。

 雪道になり、13丁目の肝心坊を通り過ぎて、大木の杉木立をジグザグに登る。
雑木林に変わると甲府盆地・市街地の明かりが見え、シルエットで富士山が見えるようになる。
23丁目の中適坊を過ぎると富士山の右の空が赤く染まり始める。そしてライトのバッテリーも終わったが無くても登れた。
36丁目の青雲坊を過ぎると、御来光を気にしながら登る。右の山腹道を登り、折り返して尾根へ。を繰り返すのだが、尾根に出たときに樹間から様子を見る。大丈夫だと感じたら急いで次の尾根へ。
数回繰り返したが、オーバーペースになり、御来光待つことにする。


駐車場横が表参道入口

仮眠するつもりだったが、眠れそうもないので登る。

お先に。

13丁目の肝心坊

登り易い均等で低い段差。

23丁目の中適坊。休憩所は開放されている。

シルエットでは富士山に見えない。

御来光


 50丁目まである参道。40丁目を過ぎるとカウントダウンしながら登ると長く感じたが、山門が見えて残り2つになる。山門には『生臭いものはご法度』の立て札があった。今日はおでんの雑煮だが、練り製品は生臭い食材か? 山頂で食事の予定だから関係ないのに気付く。
山門を潜り境内に入る。気付けばここまで、バランスを崩すようなスリップはなかった。足に負担の少ない気配りされた参道は初めてだ。

 春・秋の彼岸にはダイヤモンド富士が観られる敬慎院・随身門前の富士山展望台へ。しかし朝靄のためか富士山はくっきりと見えない。帰りに期待する。

 七面山へ。昭文社『日本二百名山』では敬慎院から七面山まで所要時間が30分とある。ここまで来ると楽々だと思ったが・・。
展望台前を通り過ぎると直ぐに山頂への道標があったので従うと、広い道にはトレースがなく新雪を踏む道になる。更に2ツの道標に従うと荷揚げ用リフト小屋の裏手を迂回していた。ここで道が分からなくなる。
30分で山頂に着くのなら右手に見えるのが山頂かと思って、雪下に道がありそうなシラビソの山腹の道をラッセルしながら歩くが、股間まで埋もれるようになる。
画面が小さくて、分かり難いGPSで七面山を探すと30分では到達できる距離ではなかった。

 先ずは登山口を探さなくてはならない。リフト小屋まで戻り、石柱のある尾根に取り付いてみると雨量観測所小屋があり、黄色のビニールテープを見つける。トレースはないが、七面山登山口に間違いなさそうだ。この時点で30分ロスをしていた。


山門

随身門より。ダイヤモンド富士が観られるときに登ってみたい。

 尾根を外さずに不安を感じながら登ると、大崩落したナナイタガレに出て展望が広がる。暫くガレ縁を登るが危ないので、少し下の窪地を歩くとカモシカ・ウサギの足跡が続くが、登山道なのか分からず。
不安を感じながら緩やかに登ると、右前方に上がるテープを見つけ小尾根へ。
やがてガレ方向への登りになり、ガレ横から滑りながらも5m程、よじ登ると背後に駿河湾が見えているのに気付くがルート探しに忙しい。更に直登してみるが道らしきはなく、斜面を右から巻くとテープを見つけ安堵する。

 ナナイタガレの頭部を歩くようになると危険防止のためロープが張られている。ここまで登れば山頂は近く感じた。
シラビソ・カラマツ帯を緩やかに登ると、広場になった七面山が見えた。勇んで登ろうとすると、雪中に腰辺りまで入り込む。ここは強行突破しかない。


七面山登山口が分からず。左にある尾根が○だった。


山名の由来になったナナイタガレ

鹿・兎の足跡と分かれ右の小尾根へ。帰路撮影

テープがあれば安心して登れる。

テープが無ければ「おかしい?」と思う地点まで登るしかない。

【七面山頂上】

 殆ど展望が効かない七面山頂上だった。何とか北方向の樹林越に白い峰が見える。埋もれていた方位盤を見て、南アルプスだと分かる。
敬慎院から2時間近くかかったが、未だ10時前だ。アイゼンを付けて南アルプスの展望が良い希望峰に向かうことにする。しかし、直ぐに腰辺りまで落ち込む雪に阻まれて、アイゼンでは役立たず、カンジキを持参していないのを悔やむ。
慣れない雪道で腰の疲労も感じるようになっていたので、希望峰までの縦走(普通だと30分〜40分の所要時間)は諦めることにする。

 ナナイタガレの頭部でロープが張られていない個所があった。そこまで戻り、ナナイタガレの頭部(安全な場所ではない)から富士山・駿河湾を望みながら食事をする。


もう少しで山頂だ。
雪に埋まりながら登る。


展望が効かないのが残念だ。

白く見えているのが塩見岳かな?

身なりは気にしません。

希望峰に向かうが・・。諦める。

ナナイタガレの頭部に移動して食事。

ナナイタガレにて;駿河湾を遠望。

小石が絶え間なく転げ落ちていた。

駿河湾に流れる富士川。

【下山】
 食事を済ませて、誰にも会わずに下山する。間違ったトレースを付けているので、良かったと思っていたら二人組みの男性に会う。
「私達の間違った踏み跡で迷わなかったですか」と聞くと、「私たちも、間違って腰まで入る踏み跡を残してきましたよ」と。「この先にも、ありますから注意してください」と。

 荷揚げ用リフト小屋まで戻って来ると、南アルプスが見えている。登りでは道探しで、気付かなかったのだが、観られて大喜び。
帰りはリフト小屋を迂回せずに直進する。
富士山展望台では、朝よりもよく見える富士山を見納め、登って来た参道を下る。


シラビソ

カラマツ



荷揚げ用リフト小屋から見えていた南アルプス。
登りでは×方向へ登ってしまう。

荷揚げ用リフト付近より。 間ノ岳と北岳かも?

【富士山展望台にて】


随身門を額縁にして。彼岸の頃は富士山頂からの旭光が敬慎院まで差し込むのかな。

随身門からの敬慎院

富士見展望台からの随身門

昨年登った瑞牆山・金峰山方面

金峰山

【表参道展望所より】



1分ほどなので見学。
凍てついていた白糸滝

無事下山。

 二百名山でもあり、七面山頂上まで迷うことはないだろうと、ガイド本をリュックに入れた。
見たいときには、悴んだ手でリュックから出すのも億劫、雪で濡れるとボロボロになりそうなので出さずだった。やっぱり、拡大コピーをして、ビニール袋に入れて直ぐに読めるようにして置くべきだった。
 希望峰まで行けなかったことが悔やまれるが、天候と展望に恵まれ良かった。終わってみれば雪と格闘したのも楽しい思い出になったようだ。

 中央道から帰宅することも考えたが、スキー帰りの車もあるので、来た道の東名から帰宅する。
毎度のことながら豊田Jck手前の渋滞16キロ区間を通過して、御在所岳SAで食事を済ませてから21時に帰宅する。

 膝に負担の少ない参道は良かったが、七面山登山口からの慣れない雪道で、違う筋肉を使ったためか2日経っても、違った部分の筋肉痛がある。

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