平成21年4月19日 名爆大山滝から矢筈ヶ(せん)1359m 甲ヶ(せん) 1338mを往復

年度別


 ガイド本では登山適期は残雪がなくなる5月からになっているが、最近は夏を思わせる日々が続いているので、雪はないだろうと思い決行する。

 枚方を2:30に出発、中国道から米子道を走り、蒜山ICで降り、国道482号から県道45号(大山環状道)に入り地蔵峠へ。
地蔵峠付近の展望パーキングで、朝日を受ける烏ヶ山・大山・矢筈ヶ山・甲ヶ山と連なる山並みを見て、峠を越し大山滝の道標で左折。三本松で一向平(がなるキャンプ場・大山滝の道標に従い左折すると70台収容できる一向平キャンプ駐車場(無料)に着く。

周辺地図

6:27一向平キャンプ場(標高約560m)〓54吊橋〓7:25〜30大山滝〓7:56大休口(地獄谷分岐)〓9:07〜17大休峠〓9:58〜10:03矢筈ヶ山〓10:13小矢筈〓10:53〜11:33甲ヶ山〓(復路;足にけいれんを起して歩行時間が増える)〓12:20小矢筈〓12:38〜40矢筈ヶ山〓13:25〜41大休峠〓14:50大山滝〓15:40一向平キャンプ場  歩行距離16.1km

【一向平キャンプ場〜大山滝】

 一向平キャンプ場の駐車場からは双子山と云われる矢筈ヶ山と小矢筈、そして甲ヶ山が見えていた。キャンプ場内の登山事務所に、余裕をみて下山時間を15時して登山届をポストに入れる。
長丁場なので気合を入れて加勢蛇川沿いに歩く。しかしキャンプ場外れの林内にサンカヨウが咲いていて、早々と足が止まってしまう。以後、山野草の観察と新緑のブナ林の美しさに見惚れて思うように進まない。
 急斜面に造られた未だ新しい階段を下ると、長さ45m・高さ30mの吊橋に着く。
左岸に渡ると、時々ヒノキ林が交じるようになるが、新緑のブナ原生林がヒノキ林を囲むように自生しているので、それほど違和感がない。
加勢蛇川に流れ落ちる小さな谷を幾つか横切って、左下からの水の流れる音を聞きながら歩くと、水爆が聞こえるようになり滝広場に着く。
広場から少し下った大山滝展望台へ。高さ42mの日本滝百選にも選ばれている滝は水量も豊富で迫力があった。


一向平キャンプ場の登山事務所

ブナ林の美しい加勢蛇川沿の道を歩く。

初々しい新緑のブナ林

段差が均等のため急な斜面では足場が狭い。
吊橋上より加勢蛇川上流
吊橋

支谷を横切る。
加勢蛇川へ流れる。

大山滝

【大山滝〜大休峠】

 大山滝から先は登山者の領域になるが、川床への中国自然歩道なので、道はしっかりしていた。
最後の沢を渡渉すると、平坦なヒノキ林内の広い道になり、先ほど渡渉した沢のせせらぎを聴きながら、歩くと大休口(地獄谷分岐)に着く。
 道標にしたがって直進すると、ブナ林の原生林となってジグザグの急坂になる。やっと前方が開けて、コブシが咲く明るい尾根に出る。そして谷越しには矢筈ヶ山と思われる頂がみえる。道は左に曲がり、緩やかな尾根道になると、羽を広げたような山容の烏ヶ山と大山が樹間から望まれるようになる。ガイド本では、この辺りが三本杉分れのようだが、標示を見つけることはできなかった。
尾根道から山腹の道になると雪が見え出す。今日はアイゼンを持参していないので、以前の奥越・三ノ峰での山頂直下の残雪による断念を思い出す。
とうとう小さな谷に残雪が現れて、横切るようになる。そして斜面にも残雪がある地点にくる。
アイゼンなしでも登られそうだが道は雪の下に。しかし、ここまで殆どなかった目印のテープが3箇所ほど巻かれていおり無事通過すると、樹間越しに大山を眺めながらの快適な歩きになる。
 ここで、私たちより30分早く、山に入った単独の男性が矢筈ヶ山から下山して来た。羨ましい健脚だ。

 避難小屋が見えてくる。野田ヶ山・川床への分岐でもある大休峠に着く。リュックを下ろし、ベンチに座って、大山を眺めながら、おにぎりを1ツ食べる。
ここで、私たちよりも1時間も遅く出発した単独の女性に追い着かれて、少し焦り気味になる。
私たちも女性と同時に道標に記されている船上山方面(避難小屋入口の前に道あり)へ。女性は直ぐに見えなくなり、キツイ登りになる。花は咲いていないので登ることに専念するがオーバーペースになっていた(体調が良いと思っていた)ようだ。
ガレ石の道になって、ブナ林内の急斜面を登るとP1300mに辿り着く。
残雪がある潅木の尾根を北方向に歩くと、矢筈ヶ山への登りになる。イヌツゲ・ダイセンキャラボクが自生するようになると見晴らしがよくなり、背後には大山・烏ヶ山が望まれているが、振り返らずに山頂からの展望を楽しみに登る。




最後の沢を渡る。

平坦なヒノキ林の道が続く。

大休口(地獄谷分岐)

ジグザグに登り高度を上げる。

前方が開けてくる。

P1300と矢筈ヶ山だと思う?新緑とコブシ
緩やかな尾根になると大山・烏ヶ山が樹間から望まれた。

烏ヶ山

とうとう雪が現れる。

登山道は何処だ。

気持ち良い緩やかな道が続き峠へ。

ユートピア避難小屋が見えた。

大休峠の避難小屋

大休峠からは船上山方面へ。

大休峠からの大山。

大休峠からはガレ岩の急坂を登りP1300へ。

【矢筈ヶ山〜甲ヶ山】

 一等三角点のある矢筈ヶ山に立つ。土俵程度の広さがある山頂からは360度の大パノラマが広がる。霞んでいるが日本海も望まれる展望に大満足する。
急峻な峰の小矢筈の岩場には、峠で出会った女性が登っているのが見える。
 私たちも小矢筈へ。潅木の尾根道を下り、小矢筈直下の岩場にくる。補助用のロープがあるだろうと思っていたがなかった。「この岩壁を登るの?」。「ここしか見当たらない。岩肌にはアイゼンの傷跡があるからここだろう」。足の長い方が有利に思える岩肌を登る。



矢筈ヶ山頂上より烏ヶ山を望む。

登頂意欲が湧いてくる甲ヶ山と小矢筈だ。

矢筈ヶ山から見えた小矢筈を登る女性。

霞む蒜山

霞む日本海と歩いてみたい樹海。

小矢筈直下からの甲ヶ山


もう少しで小矢筈頂上。

 狭い小矢筈頂上に立つ。360度の展望だが、矢筈ヶ山が邪魔をしており、主峰・大山が隠れている。
 早々、甲ヶ山へ向う。所々に尾根上に雪が残るが、大した支障ではなかった。
甲ヶ山直下のイヌツゲ等の低木が自生する樹林を過ぎると、アルペン的な岩場になる。岩斜面を水平に歩くとロープがあった。「滑りやすい岩かな?」と思って用心してロープを補助に使うが、中間で切れている。暫くテラス状の岩場を歩いてから、頭上の岩壁を登ることになる。断層が縦縞になる露出した岩肌だが滑らないので助かる。
ここで、峠で追い越された女性が早々と下山してくる。
私たちは手足を使って、急傾斜になった岩壁にトライするところだった。


小矢筈頂上からの烏ヶ山と矢筈ヶ山。大山が見えないと迫力がない。

小矢筈からの甲ヶ山。

ここにはロープが張られていたが中間で切れていた。

テラス状の岩場から直登に変わる。

未だ、二足歩行で登れる。

険しい岩壁にはイヌツゲ・クロソヨゴが自生。

 登り切ると、直ぐ左が甲ヶ山頂上だった。ここも山頂は広くないが、素晴らしい展望が広がる。誰もいないので食事にする。
食後、縦走する船上山からの単独の男性が登って来て少し会話し、先に下りて行った。そして、船上山からのピストンの男性が「怖い岩場だった」と言いながら登って来た。
山頂を譲り往路を下山することにする。


北方面;勝田ヶ山と日本海。 

【往路下山でトラブル】

 甲ヶ山直下で、右ふくらはぎに痙攣(けいれん)が起きる。軽くストレッチをして治まるのを待ってから下ること数回。
登り返しになると、今度は左の太ももの内側まで痙攣を起してしまう。同時に両方なると対処に困ってしまう。
原因は・・。ロングコースで暑くなった時期に起した経験が数回ある。登りでのオーバーペースと水分補給不足だと思われる。
アップダウンがなくなる大休峠まで下れば何とかなるだろう。下りでは、ふくらはぎ伸ばすように、かかとから着地する感じで下山する。
大休峠の避難小屋でリュックを下ろし、正しい治療方法なのか疑問だが軽くストレッチをする。細君にはミネラルを含んでいるからとレーズンクラッカーとクロンボーを食べさせられる。そして甘なつミカン、水場までの水を少し残して、充分な水分補給をする。
痙攣は治まり、朝よりも新緑の初々しさが増したように思えるブナ林を下る。大山滝まで戻ってくると、ハイキング気分の滝見の家族と出会うようになる。「滝まで、どれくらい?」と幾度も訊ねられる。こっちは自分のことで精一杯。疲労で時間計算するのも億劫だ。「2時52分に滝を出発したんで計算してな。」と。
 吊橋を渡り、急な木階段の登りになると心配していたことが起こった。再び、左足が痙攣する。一段ずつだと、長い階段なので、時間がかかり過ぎる。イライラして交互で試すと痛みがある。数回、繰り返していると痛みがなくなって助かった。朝の下り階段では、気配りのない危ない階段に思えたのだが、上りでは気配りのある段差に思えたのが不思議だ。
 開いていた登山事務所で「楽しい登山が出来た」と下山報告、朝の登山届を返してもらう。

【花】


サンカヨウ

コチャルメルソウ

シロバナニシキゴロモ

エンレイソウ

ルリソウ

ミヤマキケマン

ヒナスミレ

ヤマエンゴサク

イワカガミ

ナガバノスミレサイシン

ミヤマカタバミ

コブシ

ショウジョウバカマ

スミレサイシン

 帰路は何処のICからでも割引高速料金(1000円)は同じなので、遠回りだが大山の湧水を汲んで(ポリタンク2つ分。現在は先週の剣山での水を使用中)から溝口ICから米子道に入り、蒜山SAで食事してから帰路につく。


南からみる烏ヶ山は違った山容だった。

湧水を汲みに奥大山に。

自然水をお土産にする。
往路 249km 復路 278km 合計 527km
中国吹田IC〜米子道蒜山IC 1300円 米子道溝口IC〜中国吹田 1750円 3050円
ガソリン 31リットル × 112円   17km/g 3472円

 

トップ