平成20年6月1日 江股ノ頭 1270m 白倉山 1236m

年度別

 台高山脈の主稜線にある池小屋山から東に派生する稜線上の山に登ることにする。予定では、分岐のP1226mまで登り、江股ノ頭と白倉山を往復するのだが、こちら方面の山に登ると、何故かトラブルを起こすこと数回、前夜から少し緊張気味で4:30枚方を出発。
 国道166号線を走り、高見山トンネルを抜け三重県に入る。飯高町で右折して蓮ダムへ。辻道橋を渡り奥香肌湖左岸の県道569号線を走る。やがて県道が狭くなり、右カ-ブを過ぎると斜めに下る地道の江馬小屋谷林道ある。蓮川に架かる橋を渡り、約1,2kmで登山口のある林道終点に着く。120km


辺地図

江馬小屋林道

林道終点・若者がキャンプしていた。

7:15登山口〓9:17東尾根ピーク1223m〓10:31江股ノ頭〓10:57野江股ノ頭〓11:17分岐のP1226m〓12:27〜14:00白倉山〓14:50分岐のP1226m〓15:10ナンノキ平〓16:27登山口

【登山口〜東尾根

 林道終点奥の野江股谷に架かる鉄橋を渡ると登山口がある。ウオーミングアップなしの初っ端からの急登を、折り返しながら登る。登山口から10分ほどで分岐があり、折れなければならないのに気付かず。前方に見えるテープを見て直進し、山斜面の細い道を西方向へ登ってしまう。(雑木林と同化した手製の標示板に気付かず。)
左に落差7mほどの滝、数段になって落ちる小さな滝がある沢を渡渉する頃になって、「ルート、間違ったかな?」と。更に登ると、水爆が下から聞こえていた野江股谷が同じ高さまで迫ってきた。ここで100%の間違いを確信(分岐から30分経過。)する。このルートは地図には紹介されていない。
コンパスと地図で現在位置はおおよそ分かる。予想では江股ノ頭からは、それほど遠く離れない稜線に登り着くだろうと思い、昨日の雨で迫力ある激流の渓谷を観ながら登ることにする(暗くて思うような写真は撮れず)。
 やがて水量も細り、植林内に入ると道標のない分岐があった。右は谷を離れて登るようだが、江股ノ頭から離れてしまうので左へ。
数回、沢を横切ると山斜面のつづら坂から自然林の直登になる。踏み跡の薄い箇所もあるが、目印のテープを捜して、喘ぎながら登るとヒメシャラが自生するヤセ尾根に出て一段落。ここで腰を下ろして初の休憩をし、フルーツゼリーを食べていると中指と薬指の間に痛みが。ヒルだ!吸われる前だったが少し出血。慌てて身体を点検すると3匹いたがセーフだった。急いで出発する。
このまま、ヤセ尾根を登って稜線にたどり着くよう願っていたが山腹の道になり、しかも江股ノ頭から離れる西よりの道になる。
再び、踏み跡の薄い山斜面を直登すると、ヤセ尾根になる。そして上部が明るくなると、やっと江股ノ頭への稜線のピークにたどり着く。


林道終点奥が登山口

鉄橋上より。

ブレ防止、倒木にカメラを置いて。

ヒメレンゲ

野江股谷。

激流、落ちれば助からない。

分岐;登らずに谷道へ。

ここだと安心だと思ったのにヒルが。

稜線直下

【東尾根〜分岐の1226m】

 「ここは何処だ?」 近くに江股ノ頭と思われる峰は見当たらない。地図とコンパスで、現在位置の確認のために江股ノ頭を捜すと樹木越に、それらしき峰が北東方向に見える。どうも池小屋山から派生する東尾根のピーク1223mに登り着いたようだ。
「白倉山より池小屋山の方が距離的には近いぞ!えらい所に登って来てしもた。」と後悔するが仕方ない。11時までに江股ノ頭に着かなければ、引き返すことも考慮して歩き出す。
原生林の尾根を先に歩いていた細君が「熊が横切った」と。一寸、緊張する。
4ツ目のコブで『滝見台』と記された小さな板を見つける。そう云えば、遠くから滝音が聞こえてくるので、捜すと見つかったが地図には記載がない。その遠方には白倉山と思える山塊が望まれる。
稜線は北へ向きを変え、補助ロープが張られたガレ場の鞍部(水越か?)を過ぎ、数個のコブを越す。
 


東尾根P1223にて。あんな所に江股ノ頭が。

前方で熊が横切ったらしい。

滝見台より 垣外俣谷を挟み目指す白倉山が。

滝見台より見えた滝

 幹の細い樹木に囲まれたピークに着くと『江股ノ頭』と記された手製のプレートが多くぶら下がっている。
しかしガイド本に記載されている内容とは違い、三角点もないが・・・?半信半疑だ。
一応、信じて時間内に江股ノ頭を通過できて一安心し、焦燥感を持っての歩きから開放される。
 ガイド本では20分後には分岐のP1226mのはずだが、幾つかコブを越すが20分を過ぎても分岐に着かない。不安を感じ始めた頃に、台地状の峰に着く。「やっと、分岐の1226mに着いた」と思ったが・・?
何と!先ほどと同じ『江股ノ頭』と記された山名板があり、頭の中はパニック状態に。ここがガイド本で江股ノ頭と記されている頂上だと直ぐに解る。2等三角点もある。
本とは違い、地図では江股ノ頭と記されている。どっちが正しいか知らないが区別するため江股ノ頭にする。原生林に囲まれた雰囲気の良い頂上だが展望は効かない。
 やっとガイド本を参考にして歩ける安堵感からか、足は疲れているが精神的には楽になる。20分で分岐の1226mのピークに着くと、未だ花を付けたシロヤシオが迎えてくれた。


幹の細いヒメシャラに囲まれた江股ノ頭。

ヤマツツジ

滝見台から派生する南尾根。遠方に仙千代ヶ峰。
野江股ノ頭頂上にて

凄い!主幹が倒れても枝が主幹になっているブナの木。

野江股ノ頭の2等三角点

分岐の1226m付近

ワチガイソウ

モチツツジ

【分岐の1226m〜白倉山】

 ガイド本では白倉山までの所要時間は『1時間10分で2箇所ほど登り下りがあるが・・』とある。足の疲労は相当あるが登れそうだ。
北にテープが付いた道と出合う。ここで右に曲がりガレ石の多い登りになる。ここが頂上かと思ったが、所要時間が半分ほどでは違う(帰路時には北に入り込まないように注意しようと思っただが、気付かずに通過していた)。
大岩の迂回路、ヤセ尾根、展望の良い岩上などの道をアップダウンする。踏み跡の薄い箇所もあって、道から外れると、より一層の辛い登り下りをしてしまう。
『2箇所ほど登り下り・・』ではなかった。落差のある峰は2ツだったかも知れないがアップダウンの連続だ。何度もリタイアしたい衝動にかられるが、樹木越しに見え隠れする古ヶ丸山は確実に近づいてくるのを励みに歩く。
そして、幾分か緩やかになるとブッシュが現れる。ササやカヤトのブッシュの経験はあるが、ここは背丈前後の小木のブッシュで、これにも閉口する。2度目のブッシュを過ぎると山頂は近かった。


分岐のP1226の道標


分岐のP1226mにてシロヤシオ

シロヤシオ・シャクナゲも終わっていた

【白倉山頂上

 通り過ぎてしまいそうな山名標示がない白倉山頂上だったが、何故か郵便ポストがあった。
しかし、今回の山行では一番の展望で、北には白倉山から派生した迷岳の山塊が大熊谷を挟んで見える。南には間近に古ヶ丸山が迫り、遠くは大台ヶ原だか雲がかかっていた。しかし大峰の大普賢岳方面は望まれた。

やっと白倉山頂上だ


三角点でもあれば頂上らしいのだが。

古ヶ丸山

山頂より台高の主稜線を望む

大峰山脈 中央;大普賢岳?

【下山】

 南からガスがかかり古ヶ丸山も見えなくなってから往路を下山する。しかし、直下で北の迷岳への稜線に入ってしまう大失態をして、時間のロスをしてしまう。後は辛いアップダウンを繰り返して、ガスがかかる稜線を分岐のP1226mまで戻り北に下山する。
しっかりした歩き易い道で助かった。原生林を見ながら下るとミズナラの大木があるナンノキ平に下りて来る。
 ナンノキ平を過ぎると、少し傾斜を増した下り坂になる。やがて植林内に入ると、江馬小屋谷からの水音を聞きながら、急な斜面を小走りでジグザグに下る。
獣檻があるところまで下ってくると、石が混じる道で足の疲労もありスローダウン。
雑木林になるとカシの落ち葉で、今度は踏ん張りが効かずに滑りながらの下りだった。
やがて、林道終点から見えていた大岩を慎重に巻いて下ると、登りで間違った分岐を通過し、滑り易い登山道をジグザグに下ると朝の登山口に着く。


分岐のピーク1226まで戻ってくる。

ナンノキ平

ナンノキ平のミズナラ

フタリシズカ

ガクウツギ

ギンリョウソウ

 長い1日だった。身体の疲れよりも、精神的な疲れを感じた。山中では誰にも会わずに静かだが、初めての山では凄く不安を感じる。細君「台高の山はもう嫌!」私も当分は「嫌!」

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